大阪高等裁判所 平成11年(ネ)3026号 判決
主文
一 原判決を取り消す。
二 控訴人が、本籍・兵庫県加古川市野口町古大内四百八拾弐番地の弐・亡橋本昇の子であることを認知する。
三 訴訟費用は第一、二審を通じ、補助参加によって生じた費用は被控訴人補助参加人の負担とし、その余の費用は国庫の負担とする。
事実
第一申立
一 控訴人
1 主文一項及び二項同旨
2 訴訟費用は第一、二審を通じ、国庫の負担とする。
二 被控訴人補助参加人
1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は控訴人の負担とする。
第二当事者の主張
当事者の主張は、次のとおり付加、訂正するほかは、原判決の「事実」中の「第二 当事者の主張」(原判決四頁二行目から同六頁六行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する。
一 原判決六頁一行目の「土曜日」から、同行から二行目にかけての「国民の祝日等に規定する休日」までを「日曜日、土曜日、国民の祝日に関する法律(昭和二三年法律第一七八号)に規定する休日、一月二日、一月三日又は一二月二九日から一二月三一日までの日」と改める。
二 同六頁六行目の次に改行のうえ、次の記載を加える。
「民訴法九五条(三項)の新設は、「国民の祝日に関する法律」及び「裁判所の休日に関する法律」との関係もあって、土曜、日曜、祝祭日は「裁判所の休日」であり、原則として執務を行わないのであるから、訴訟提起の受理も含めて、休日に訴訟行為を受け付けるべきこととするのは適当ではなく、かつ、夜間受付の完備していない裁判所もあることから、地域的な格差が生じないよう、全国一律に訴訟行為の期間満了日を休日の翌日まで延長したものである。訴訟提起に民訴法九五条の適用がないとすると、夜間休日受付のない裁判所の管轄地域においては、休日前に訴えを提起せざるを得なくなるのであって、実質上提訴期間を減縮するという悪しき結果を生ぜしめ、地域的に不平等な結果を招来するのみならず。民訴法九五条の立法趣旨にも反する。確かに、死後認知は、実体法たる民法に規定されてはいるものの、訴によることとされているから、当然に訴訟手続法の適用を受けざるを得ないのである。また死後認知の訴えの出訴期間の制限は、「父子関係という微妙な問題を父の死亡後あまりに長い期間経過してから問題にすることの不都合を避ける。」というのが立法趣旨であるから、三年以内という期間に厳格な解釈を加える必要はないと考えられる。」
理由
第一本件訴訟の適法性
民法七八七条但書は、父又は母の死亡の日から三年を経過したときは、認知の訴えを提起することはできない旨を定めているところ、証拠(甲二)及び弁論の全趣旨によれば、昇は、平成七年九月一二日、加古川市内で死亡したことが認められ、また控訴人が、本件の認知の訴えを提起したのが、平成一〇年九月一四日であることは記録上明らかである。
そこで右認知の訴えが出訴期間内に提起された適法な訴えといえるかについて検討するに、民法一四一条は、期間の末日の終了をもって期間の満了とすると、同法一四二条は、期間の末日が日曜日その他の休日に当たるときは、その日に取引をしない慣習がある場合に限り、期間はその翌日をもって満了するとそれぞれ定めているから、右の定めに照らすかぎりでは、本件訴えの提起は、同法七八七条所定の期間を徒過した不適法なもののごとくである。しかしながら、認知請求は、実体法上の権利の行使ではあるが、その具体的な行使としては、人訴法(その一般法としての民訴法)上の手続に則った訴えによるべきことが定められているのであって、その点において、それが当事者にとって有利になると不利になるとを問わず、手続法の適用あるいは準用を受けることになるものである。このように、実体法上の権利行使期間がとりもなおさず出訴期間となる場合には、その末日については、民訴法九五条一項が期間の計算について従うべきものと定めた、民法の期間に関する規定のうちの、同法一四二条の特別規定である民訴法九五条三項の規定が適用あるいは、準用されることになると解される。したがって、本件訴えについては、昇死亡の日から三年という期間の末日である平成一〇年九月一二日暦算上の出訴期間の末日であるが、同日が土曜日に当たるから、民訴法九五条三項により、同年九月一四日(月曜日)が、出訴期間の末日になるものである。してみると、本件訴えの提起は、出訴期間内になされた適法なものということができる。
第二認知請求について(昇と控訴人の父子関係)
当裁判所は、昇と控訴人との間の血縁上の父子関係の存在を肯定すべきものと判断するものであって、その理由は、次のとおり加除、訂正するほかは、原判決の「理由」中の「一及び二」(原判決六頁八行目から同一一頁九行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する。
1 原判決六頁八行目の「第四一号証」を「第四六号証」と改め、同八頁一行目から二行目にかけての「英子を通じて昇の」を削る。
2 同一一頁九行目の「推定することは十分考えられる。」を「推認すべきものである。」と改める。
第三以上によれば、本件訴訟は適法であり、控訴人の本訴請求は、理由があるから、民訴法三〇五条、三〇七条但書により、本件訴えを却下した原判決を取り消して、控訴人の請求を認容することとし、訴訟費用の負担について、民訴法六七条二項、六一条、六六条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 秋元隆男 裁判官 岡原剛 裁判官 古久保正人)